2004.6.15  民主党政策調査会

民主党はこう考えます

イラクの真の安定・復興に向けて・・・

 

わが党は、このたびの小泉総理による多国籍軍への事実上の参加表明を認めることはできない。

 とりわけ、その表明がサミット等の場において小泉総理の独断でなされたこと は、 まさしく国会軽視であり、また、イラク特措法の政令改正という不透明な手法は、手続的にも問題があり、国民への説明責任を何ら果たしていないことに強い憤りを覚える。

 わが党は、下記の理由により、まず、自衛隊の即時撤退を求め、あわせて、イラクをはじめとする中東における真の安定と復興を実現するために、確固とした国際協 調体制の構築に向けた不断の努力を重ねていく。

 

(1) サマワに展開する自衛隊は6月30日の主権移譲前に、撤退すべきである。

[1]  我が党はもともと、現状のイラクのように武器を伴った反占領活動やテロが頻発 している地域において、「戦闘地域」「非戦闘地域」に分けることは出来ないと主張して きた。怖れていたとおり、今や迫撃砲による攻撃や仕掛け爆弾などの行為が常態化 し、治安を担当するオランダ軍には死者が出るに至っている。

 また、日本人が人質と して拘束され、ジャーナリストが殺害されるなど、アメリカへの協力者と見られることにより、日本人もイラク人による攻撃の対象となりつつある。我々はもともと、イラク特措法には憲法上の疑義もあり反対であったが、イラク特措法が成立する前提条件も、もはや崩れている。

[2]  イラク特措法が、イラクに主権が移譲されるまでの人道復興支援活動と安全確保支援活動を規定していることは、第1条の目的や第2条の基本原則などにより明らかである。しかし政府は、6月30日以降も同法を根拠に自衛隊の駐留を続けようとしている。

 多国籍軍への事実上の参加は、自衛隊発足以来なかったにもかかわらず、新たな国連決議を前提とした新法も作らず、CPA(暫定統治機構)の占領統治を前提としたイラク特措法を援用することは、法治国家として決して認められることではない。

 

(2) 多国籍軍の一員として自衛隊をイラクに派遣すべきではない。

[1] 今まで政府は、目的・任務に武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上許されないとしてきた。国連決議1546に基づく多国籍軍の主な任務は治安維持活動であり、当然、目的・任務に武力行使を伴う政府は人道復興支援活動を中心に行うとしているが、安全確保支援活動は、まさに武力の威嚇・行使を伴う治安維持活動を支援するものであり、指揮権の問題と合わせて憲法上の疑義は払拭されない。

[2]  先般発足したイラク暫定政府は、その主要人事に見られるようにアメリカの影響力が色濃くうかがえる。その暫定政府とアメリカの意向を強く反映した国連決議1546 は、幅広い国際協調体制を再構築してイラクの治安を安定化させ、復興支援を力強く行う根拠には実際なりえていない。そのような状況の下で拙速に自衛隊を出すべきではない。

[3]  上記のような理由で、多国籍軍の一員として自衛隊をイラクに派遣することに我が党は反対である。

 しかも、多国籍軍への事実上の参加は自衛隊発足以来なかったことであり、またイラクに暫定政権が出来るという全く違った状況になるにもかかわらず、政令改正だけを行ってイラク特措法を援用し、日米首脳会談において、国会や国民に先んじて、事実上の多国籍軍への参加表明をするような国会無視の小泉総理の姿勢は、断じて認められない。

 

(3) 真に機能し、イラクや中東の安定に資する国際協調体制の再構築に、日本は努力すべきである。

 

○ イラク暫定政府とアメリカの意向を強く反映した国連決議1546は、幅広い国際協調体制を再構築するためには多くの課題を残している。仏・露・中といった国連安保理理事国のみならず、独・印やアラブ諸国など、多くの国が積極的に関与できる環境整備に、日本は努力すべきである。