意 見 表 明 

国家公務員の任命につき同意を求める件について、意見を申し述べます。

まず日本銀行総裁及び副総裁の任期満了が本日に迫る中、今月7日に至るまで最初の候補者すら提示しなかったこれまでの政府の姿勢に対し、強い抗議と懸念の意を表明いたします。

同時に期限極まって候補者を提示したことが混乱の原因であるにもかかわらず、ポストの空席等の責任が野党にありと言わんばかりの政府与党内の声は大変遺憾であり、国会での十分な議論を確保せず、自らの人事案を押し通すことが当たり前であるかの旧来型の発想に猛省を促したいと思います。

その上で、日本銀行総裁及び副総裁のあり方について、民主党の考え方を申し上げます。

言うまでもなく、日本銀行には高度な独立性が保証され、通貨価値の安定を至上命題とする機関であります。しかし、現在国・地方あわせて770兆円に上る巨額の長期債務の存在は、ともすれば国家財政の都合により、金融政策に歪みが生じかねない、また国民の側から見てそのような疑念が生じかねないことは周知の事実であります。

現に85年のプラザ合意以降の超金融緩和政策、その後のバブル経済と崩壊、さらにつらなる異常なまでの超低金利政策、加えて日銀による多額の国債買入、この一連の経過は、大いに教訓とすべき歴史的事実であり、今なおその背景に大きな変更はないのであります。

したがって、日銀総裁には第一に国家財政からの十分な独立性を保ち、国民生活の目線にたった、金融判断、金融政策の実行力を備えていただかねばなりません。またそれを期待できる環境を整えることが私たちの使命であります。

同時に金融政策の舵取りをする者として、過去の金融政策を正しく総括し、経済の現状について的確な認識を持つ必要があり、バブルを挟んだ一連の財政金融政策を単に正当化したり、その弊害を省みない姿勢では、日銀トップとしてふさわしくないと考えます。

さらに、米国サブプライムローンの問題をきっかけに世界の金融市場が混乱している現状を考慮すれば、時期日銀総裁には、豊な国際性、具体的には海外の中央銀行や国際金融機関関係者との豊富なネットワーク蓄積して来られた実績が望まれます。

以上の観点から総裁候補、田波耕治君について申し上げれば、第一に、かつて国家財政の事務方のトップにあった者であり、知見や人脈を察するに、国家財政からの独立性を十分に担保することは難しいこと。

第二に、同氏は拓銀や山一證券、そして長信銀の破たんなど、正に大蔵省による長年の金融政策の失敗が一気に噴出した未曾有の金融危機、しかもそれがピークに達した1998年当時の、正に大蔵事務次官であり、今なおその責をの免れるものではないこと。

最後に、官僚時代のキャリアを通じて金融実務の経験は、いささか乏しいといわざるを得ず、海外の中央銀行や金融機関関係者とのネットワークも必ずしも十分蓄積されているとは言えないこと。

これらの観点から田波耕治君の総裁就任には懸念すべき点が多く反対すべきが適切と考えます。

同時に今回の政策論議をひとつのきっかけとして、長年当たり前のように続いてきた大蔵事務次官経験者と日銀出身者が交互に総裁ポストをたらい回しにする、いわゆる「たすきがけ人事」の慣行に、一石を投ずべきことを合わせて主張いたします。

最後に日銀総裁が長期間空席となることを回避すべきは当然であり、速やかに新たな人事案を提示することを強く要請し、意見の表明とさせていただきます。